「行こうか、羽瑠」
「あ、はいっ……!」
先を歩く神楽さんの後を追うように、小走りで廊下を進む。
あたしなんかが神楽さんを避けても良いはずがなく。
敦雅さんと話したあの日、お昼からは神楽さんと一緒にご飯を食べた。
避けるなんて、いいご身分。
途中でそう気付いたあたしは何も無かったように神楽さんと話してご飯を食べて。
いつもと変わらない日常を送っていた。
1つ変わったと言えば……。
「羽瑠どっか出んの?」
敦雅さんだ。
靴を履くあたしに敦雅さんが声をかけてきた。
「出るんだったらさ、ついでに煙草買ってきてよ」
「買いません」
フンッと顔を向こうに持っていく。
「はぁ?さっきのことまだ怒ってんの?」
「あ、当たり前じゃないですか!気付いたらいなくなってるんですからっ……!」