「ううん。そんなことないよ。羽瑠ちゃんに何か用事?」
「あ、それがね、お使いを頼みたいんだけど……どうかしら?」
「お使い?」
「そうなの!今日、お友達の家に行くことになってたんだけど、用事が出来て行けなくなっちゃって」
両手を合わせた睦美さんが、申し訳なさそうに眉毛を下げる。
「羽瑠ちゃん代わりに行ってくれない?」
「い、良いですけど……」
そこまで言って言葉に詰まる。
行くのには全然良いんだけど……大丈夫なのかな?
そんな疑問を抱えていると。
「羽瑠ちゃんが行く意味あるの?」
あたしの代わりに衣吹さんが質問してくれた。
「本当は今日、“もの”を貰いに行く予定だったの」
「もの……?」
「そう。準備してくれてると思うんだけど……ほら、私、用事が出来ちゃったから」