「敦雅が迷惑かけてるんだな」
小さいため息と共に聞こえた言葉に、あたしは目を丸くした。
「おおかた羽瑠のボディガードをしたくて変な事を吹き込んでいるんだろ?」
「なっ、別に吹き込んでなんかっ……!」
身体を前のめりにして反論する敦雅さん。
そんな敦雅さんに、組長が淡々とした口調で話し始める。
「敦雅。この際だから言っておくが、羽瑠のボディガードはおまえでもあり得た」
「え……?」
「敦雅もウチのNo.2だ。信頼してない訳じゃない」
「じゃ、じゃあ今から変えても───……」
「だがな、その時おまえはいなかった。俺の言ってる意味、わかるよな?」
「……」
敦雅さんが俯いた。
ゆっくりと現状を理解するように。
「候補から……消えたって事ですよね……」