慌てて顔を覗かせたあたしは頭を下げる。

そしたら組長の部屋に敦雅さんがいるのが見えて。


バチッと目が合う。



「聞きたいことってなんだ」

「あ……っと、」


衣吹さんが口籠った。


そりゃそうだよ。

まさか敦雅さんがいるなんて思ってなかったもん。


良くも悪くも、本人を目の前に聞くなんてちょっと勇気がいる。


だけどそれが衣吹さんの強いところでもあって、口籠ったのは一回だけ。


衣吹さんは口を開いたんだ。



「もしあの時、敦雅もいたら羽瑠ちゃんのボディガードって敦雅の可能性もあった?」


衣吹さんの言葉に、敦雅さんがピクリと反応した。



「なんだ?神楽じゃ不満か?」

「いや、そうじゃないの。ただ……どうだったのかなって……」


シーンと静まり返る。

みんなが次の言葉を待っている。