「お父さん、私。衣吹」

「どうした」


襖越しに声が返ってくる。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」


衣吹さんと目が合って、あたしはゆっくりと頷いた。


「羽瑠ちゃんのボディガードのことが聞きたくて……」

「……」

「……」


返ってこない返事に、あたし達は顔を見合わせた。

やっぱり安易に聞くものじゃなかったのかも……。


急に不安になってきた。



「入ってこい」


聞こえてきた言葉に、緊張して心臓がドキッと跳ねた。


スッと襖を開ける衣吹さん。

衣吹さんが顔を上げると、その手が途中で止まったんだ。



え……?

衣吹さん??



パッと、“何か”から逃げるように顔を逸らした衣吹さんは明らかに様子がおかしい。


「は、羽瑠ちゃんもいるよ……」