あたしも神楽さんを見つめ返すようにジーッと見つめる。

だけど、視線が合わなくて。


神楽さんの指先があたしの前髪に触れた。



えっ……!?


その優しい手付きにドキドキするのは言うまでもなく。

ドキドキがどんどん加速していく。



「か、神楽さん?」

「あいつαだから」

「えっ……?」

「気をつけろよ」


不意に絡む視線に、ドキッと胸が跳ねた。

「はい」って返事をする前に。



「わっ……!」


ワシャワシャと髪の毛を乱されたんだ。







   ♢♦︎♢♦︎♢


次の日。


「羽瑠ー!菓子持ってきた!一緒に食おうぜ?」

「えっ!?」


襖を開けると両手いっぱいにお菓子を持っている敦雅さんがいた。


「そ、そんなにたくさん、どうしたんですか……?」

「羽瑠と食う為に買ってきた」