「何で神楽さんなんだよっ……!」
独り言のようにも聞こえる、叫ぶような声。
「どーせそこに神楽さんがいたからボディガードも偶然だろ?」
「えっ……」
「もしそこに俺がいたら羽瑠のボディガードは俺だったかもしれない」
「え、えっと……それは……」
「なぁ?羽瑠もそう思わねぇ?」
「そうかも、しれないですけど……」
「なら変えたって別に問題ねぇだろ」
今日初めて会ったばかりだけど、話し方と言い、表情と言い、柊さんが怒ってるのがわかる。
ううん。
よく考えたらこの部屋に入って来る時から機嫌が悪かった。
「ひ、柊さんっ……どうして怒って───」
「敦雅だ」
鋭くも綺麗な瞳に見つめられ、不覚にも胸がドキンとした。
シルバーアッシュの髪色が日の光で輝いて見えて。
それと同時にピアスがキラリと光る。
「敦雅。言ってみ?」
「う、あ……たい、が……さん……」