またフィッと顔を逸らした柊さん。
言いにくいことなのか、頭を掻いて下を向いた。
「怒ってるとき、そう呼ばれる……」
「……」
やっぱりそう簡単に呼んじゃダメな気がする。
「えっと……あたしには柊さんの方が───……」
「ごちゃごちゃうるせぇな」
聞こえてきた言葉に思わずビクッと肩を揺らす。
「羽瑠は特別だ。敦雅でいい」
「うぅ……」
有無を言わせない口振りに、あたしは小さく頷くしかなかった。
「そー言やあんたΩだったんだな」
えっ……。
驚いて、反射的に身体が仰け反った。
「あん時一瞬匂ったんだ。“もしかして”って思ったけどビンゴ。組長から聞いたよ」
組長、あたしのことを教えるって言ってたから話したんだろうけど……。
今まで隠して生きてた分、やっぱり誰かに知られるのは……ちょっと怖い。