「あんた、もしかして……」
えっ……。
ドキリとした。
もしかして……バレた……?
「柊。後で俺のところに来い」
「え………」
一瞬、呆気に取られた表情をした柊さんがすぐさま頭を下げた。
「わかりました」
組長が種を返すように廊下を歩いて行くのを見て、視線を玄関の方に戻す。
そしたらいつもの桜夜組の光景に戻っていた。
柊さんも自分の荷物を運ぼうとして、そこにいた幹部達が荷物を運ぼうとしたり、後ろを着いて歩いたり。
それを見てホッと胸を撫で下ろす。
よ、よかった……。
深掘りされたらどうしようかと思ってたよ……。
「大丈夫か?怪我してねえ?」
「は、はいっ……ありがとうございました」
あたしは感謝の気持ちを込めて慌てて頭を下げた。
「頭なんか下げなくていいから。普通にしてろ」