ふぅ、と息を吐いた時。


廊下の向こう側から、騒ぎ声に似たものが聞こえて視線を持っていく。


「帰ってきたみたいだな」


組長の言葉に心臓がドクンと鳴った。



───神楽さんと肩を並べるくらい、

すごい人。



その人が向こうにいる……。




「羽瑠。おまえも来るか」

「えっ……!?」

「あいつにも羽瑠の存在を教えなければならないからな」

「……」


緊張なのか、恐怖なのか。

未体験の感覚に唾を飲み込めば、ごくりと喉が鳴る。



「神楽。一応おまえも羽瑠のそばにいろ」

「はい。承知しました」