「うん。おはよう」

「あ、あのっ……入院してた人が帰ってくるって言うのは……」

「ああ。そうだな、」


組長が口を開いた瞬間。


「組長っ!」


焦った様子の神楽さんが、少し強めの声を上げる。

そして、バツが悪そうに視線を逸らした。



「……横からすみません。ですが、羽瑠にこっちの世界の話しをするのはあまりおすすめできません」


えっ……。

困惑状態のあたしは、神楽さんと組長の顔を交互に見る。



「羽瑠を巻き込ませたくない気持ちはわかる。だがな、ここにいる以上、羽瑠の顔はいずれ割れる。護身の為にも少しでも情報は入れておいた方がいい」

「……」

「あまりにも酷じゃないか。一緒に暮らしているのに何も知らんって」


神楽さんの肩に、組長の手がポンッと優しく乗る。


「おまえの気持ちもわかっているつもりだ。これ以上、怖い思いはさせたくないんだろう?」