きっと、今のあたしの気持ち全部、神楽さんにはバレてるんだろうなぁって思った。



「そう言えば今日でしたよね?帰ってくるの。神楽さんは行くんですか?」

「行かねえ」

「ですよねー。まあ僕は挨拶くらいしようと思っています」

「別に行きたきゃ行っていいんだぞ」

「いえ。千葉(ちば)が毎日のようにお見舞いに行ってるみたいなんで、今日、わざわざ僕が行かなくても大丈夫でしょ。それに僕の兄貴分は神楽さんだけなので」



………。

んん?


初めは神楽さんの知り合いが帰ってくるから、迎えに行くって言う話をしてるのかと思ったんだけど……違う?


“兄貴分”に“お見舞い”?

何の話をしてるんだろ……?




「じゃあ、神楽さん。僕、そろそろ飯買いに行くんで失礼します」


バッと勢いよく頭を下げた後藤さんは、小走りに廊下を去って行った。