それに一人称が“僕”だし……。
「あれ？羽瑠怪我してんの？」
「えっ、あ……はい」
バレるのか嫌で、キュッと怪我を隠すように手を握る。
「神楽さんの包帯が取れたと思ったら次は羽瑠が怪我すんのな」
えっ……？
後藤さんの言葉に視線を下に持っていくと、本当に神楽さんの手から包帯が外れていた。
……嘘。
全然気づかなかった。
「もう、大丈夫なんですか？」
「ん？ああ」
包帯が巻かれていた手を上げ、「ほら」って言いながらあたしの前に持ってくる。
「……」
その手を見て、ちょっぴり悲しくなった。
あたしがいなかったら神楽さんはナイフを刺すことはなかったのに。
痛い思いはしなかったのに。
って、考えると罪悪感でいっぱいになる。
そんな気持ちでいたら、クシャッと頭を撫でられて。
