「無理してただろ?」

「えっ……?」

「さっきの奴に。来た途端、羽瑠すぐ固まったし」

「あ……」


やっぱりバレてた……。


「神楽さんが手を握ってたおかげで……怖くなかった、です」

「そっか。なら良かった」


クシャッとあたしの頭を撫でる神楽さんに、胸がキュンとするあたしがいて。

ちょっぴり照れ臭くなって、神楽さんの顔が見れなかった。








   ♢♦︎♢♦︎♢


居間から出て行こうとすると、勢いよく誰かが入って来るのが見えた。

ぶつかる、って思ったけど、間一髪のところで神楽さんに腕を引かれて。


……ギリギリセーフ。



「す、すみません。前見てなくて───……」


そう言って顔を上げたのは、神楽さんとよく一緒にいる……えーっと……後藤さんだ。