何もできない自分に、膝の上で手の平をギュッと握った。
Ωに対して、悩みは人それぞれで。
家族に受け入れられても、また別の悩みがある。
……どうして、
Ωはこんなにも生きづらいのだろう……。
どうして、Ωばかりがこんな仕打ちを受けなければならないんだろう……。
αだからって傲慢な態度を取るこの世界が、Ωは非力だと言って位を作ったこの世界が…………大嫌い。
「でもね、私、後悔したくないから」
え……。
「私が選んだ道だもん。この道だって悪いことばかりじゃない。友達いっぱい出来たし、学校行くの楽しいし」
衣吹さんが笑ってた。
作った笑顔じゃなくて、嬉しそうに。
「幸いにも私が通ってる学校はちゃんとしてて、あの先輩も罰を受けてたから」