「みんな怖がって逃げてくんだ。だから全然友達出来なくて……」
……えっ……。
衣吹さんの言葉に胸が痛んだ。
こんなに、優しい人なのに……。
「だからね、高校は私のことを知らないところに行くことにしたの」
「えっ……知らない、ところ?」
「うん。ちょっと遠いんだけどね、昔より全然良い。友達もいっぱい出来たし」
そう言って笑う衣吹さんはどこか寂しそうに見えた。
「辛くない?」
「え〜何?どうしたの急に」
笑って誤魔化そうとする衣吹さんを見つめた。
一緒にいた時間が短くてもあたしにはわかる。
だって、その笑顔、いつもの笑顔じゃないんだもん。
あたしの為に泣いてくれて、喜んでくれる衣吹さんの表情くらい、ちゃんと見てる。
「も〜。羽瑠ちゃんの為に誤魔化そうと思ったのに」