♢side 神楽♢



組長も無茶言うぜ。

名前も知らない子の素性を調べるなんて。



廊下を通って組長の部屋に行く途中、盆の上に乗っているご飯を見つけた。



「……」


昼はとっくに過ぎた。


手を付けていない様子からして、ここはあいつの部屋か?



「ん?どうしたんっすか、神楽さん」

「何でもねえ」


再び歩き始めた俺の後を、追いかけるようについてくる後藤(ごとう)


後藤とは兄弟関係で俺の舎弟。

横の繋がりが広いこいつは情報を探るのにもってこいの人材だ。



「じゃあ僕、ここにいるので」

「ああ」


組長の部屋の前。

組長に向かって声をかけた。







  ♢♦︎♢♦︎♢


「で、何がわかった?」

「はい。あの少女、小林(こばやし)羽瑠(はる)と言う名前でして。近隣の女子校に通う高校2年生です」