「町長、連れてきました」
「ナターシャとリークだな、どうぞ」

 町長に迎え入れられ、私とリークは家の中に入る。中の作りは以外にも質素だ。白い壁に、家具はぱっと見地味だ。

「座ってくれ」

 私とリークは、町長に促され、テーブルの席につく。

「まず、この町はどうだ?」

 そう尋ねられ、少し考え込むと、私から先に口に出していく。

「とても良い町です。海産物も美味しいです」
「リークは?」
「同じ意見です」
「ははっ、そうか…」

 町長は笑いながら、私へと目線を向けた。

「ナターシャ、あの妃と同じ名前なんだな」
「よく言われます」
「美しい見た目なのも、似ている」
(…?)

 町長は品定めするような目で、私をじっと眺める。

「来てもらおうか、ケインも」

 町長は立ち上がり、私達についてくるように促す。私とリークは彼の背中を追うように、ゆっくりと歩く。
 リビングから離れ、ドアを開いた先には、鉱山のようなトンネルがあった。

「ここを通る」

 カンテラの灯りを頼りに、暗いトンネルを歩いていく。

(なんなんだ…)

 まさか、取って食おうとしているのか。そして先程の「ナターシャ」の話。何か企んでいる気がしてたまらない。