そのまま私は、深い眠りに入った。次に目が覚めた時はすでに夕方。夢を見る事が無かったのはとても良かったと感じながら、目を開ける。

「もう何時だろう」

 時計は17時あたりを指している。時計を見て私は飛び起きて、キッチンへ向かった。
 キッチンにはリークが既にいた。ゆっくりとお米をといでいる。

「リーク、今起きたとこ!」
「ナターシャ、別に寝てても良かったのに…」
「リークばかりにさせるのも、気が引けるというか…」
「そ、そうか…」

 と言う訳で晩御飯の鯛ごはんを作る事になった。お米をといで、鯛を綺麗に水洗いする。

「骨はどうする?」
「そのまま炊いて、炊き終わりに全部骨を取ってほぐす?」
「そうしようか」

 お米の上に水洗いして汚れを取った鯛を乗せ、上から醤油と刻んだ生姜を少し入れてから、お米を炊いていく。
 その間、野菜でスープも作る事にした。

「キャベツと、じゃがいもと…」
「にんじんも入れましょうか」

 キャベツは手でちぎり、じゃがいもとにんじんは細かく包丁で刻んでいく。鍋に入れて塩とコンソメで味を調えて煮込んでいく。

 ぐつぐつ…

 煮込まれている音を聞くのは、少しだけ楽しい。水が泡立っている部分を見ると、具材から出た味やだしが鍋全体に染みこんでいくような気がするからだ。

「もうこんなもんだろうな」

 リークが火を弱め、蓋をした。窓から見える景色はいつの間にか暗くなっている。そんな空を見ながら部屋の灯りを付けて、夕食を食べる為の準備をする。
 
「前いた所よりも、空の景色が見えやすいわね」
「確かにそうだな」
「日が落ちる所がくっきりと見えるわ。空と海の境もね」

 窓から見える景色は、木々が減って代わりに海が見えるようになった。空も以前より見えやすくなっている。
 これでも一応山の中にはなるのだが、山と海に挟まれている関係もある。

「あ、良い匂いがしてきたわね」