「美味しいっ…!」

 ミートソースにもちもちした麺が上手く絡み合って、濃厚な味わいだ。それに、トマトソースの酸味を粉チーズが程よく抑えてくれている。

(いくらでもいけそうな味だ)

 リークも美味しいと言わんばかりの、満足そうな表情を浮かべている。

「これならいくらでも食べられそうだ」
「そうね…!」
「おかわり用の麺、用意しておいて良かった」

 サラダもフォークで突き刺し、口に入れる。こちらはレタスのしゃきっとした味わいと、ドレッシングがさっぱりとしていて、ミートソーススパゲッティとはベクトルの違う味をしている。

「サラダも良いわね」

 夏場はそれこそ、こういうさっぱりとしたサラダは良いかもしれない。

「ごちそうさまでした」 

 おかわりも食べると、一気に眠気が襲って来た。だがまずはお皿を片付けなければならない。一息休憩して、お皿を洗って食器置き場に置いたタイミングで、玄関のドアをノックする音がする。

(誰だ?)

 リークと共に、玄関の小窓から外を見ると、ケインが魚を持って立っていた。

「はーい」
「どうも、これ差し入れだ」

 ケインが持っていたのは鯛だ。聞けば今日近くの海で取れたものだという。

「メイルさんとこにも持っていったよ。あのウサギ可愛かったなぁ」
「そうなの」
「ああ、つー訳でこれ受け取ってくれ」

 ここで、魚自体は有り難いが、内蔵の下処理はどうやってするのかという疑問が湧く。リークも同じだったようで、下処理をどうするのかと聞いた所、もう下処理はしているという答えが返ってきた。

「ちなみに煮ても焼いても美味しいぜ。米と一緒に炊くのも良いかもなぁ」
「ありがとう」
「じゃあな、また何かあればいつでも頼ってくれ!」

 ケインが去った後。キッチンに戻った私達は、鯛をどう調理するかの相談をする。

「お米と一緒に炊いたらどうなるのかしら…」
「その場合、調味料はどうすれば良いのだろうか…」