「そうか、そうだよな」

 ケインは納得したかのように頷くと、仕方ないと言わんばかりの表情を見せる。

「しっかり休んで疲れを取ってくれ。じゃあ」
「ありがとうね、ケイン」
 
 私がそう言うと、右手を振って去っていったのだった。

「申し訳ないけど、ここはゆっくり休んで疲れを取るのに専念しましょう」
「メイルの言う通りじゃな」

 ここで、マッシュのお腹が減る音が盛大に響いた。

「おお、すまんのう…」
「何かご飯食べる?」
「じゃが、メイル…パンとかあるのか?」
「そうね…とりあえずアレを使いましょうか」

 アレを指すのが水鏡である事はすぐに理解出来た。私とリークは頷き、4人で中庭にある水鏡に向かう。

「買い出ししないとねえ」
「水晶の換金もしたいのう」
「じゃあ、ハイランドの街へ向かいましょうか。避難してきたばかりだけど」

 メイルの問いに私とリークは頷き賛成の態度を見せる。マッシュが水晶を幾つか持ち込んで、ハイランドの街へ転移した後は水晶を換金したり、日曜品を買い込んだりとせわしなく動く。

「これだけあれば十分じゃな。リーク、半分与えよう」
「いいんですか?」
「わしとリークが取った水晶じゃ。分け前は半分じゃないと気が済まんわい」

 わはは…と笑うマッシュにリークは深々と、感謝の意を示したのだった。

「皆、お昼はどうする?」

 メイルの問いかけに私とリークは目を合わせる。

「リーク、食べたいものある?」
「うーん…迷うなあ…」
「メイルさん、何かおすすめのものあったりします?」
「おすすめではないけど、私はフェトチーネのスパゲッティにしようとは考えてるわ」

 フェトチーネのスパゲッティ。確かにありだ。ここはなんだかがっつりと行きたい気分だからだ。

「リーク、それにしない?ソースはミートソースにしましょう」
「ナターシャ、いいな。じゃあそれにしよう」

 お昼ご飯はフェトチーネのミートソーススパゲッティに決まった。材料を買い込むと足早に家へ戻る。