「そうよ、あれが海」

 私はリークにそう告げる。リークの目は宝石のようにキラキラと輝いている。

「ずっと青が広がってるな」
「ええ、綺麗でしょう?」
「ああ、本当だ」

 その後、駅から出てすぐの場所に集まりどこに居を構えるか話し合う事になった。
 今の所建造物は駅含めてぽつぽつと4.5軒程見える。リークの親が暮らしている集落と同じくらいの密度だ。
 海は目の前に広がるくらいに近いが、山も近い。まさに山と海に挟まれていると言った具合の景色だ。

「左に進んでみます?」

 私はそう提案してみた。左側の方が建物は少ない。というか無い。

「じゃあ、そうしてみましょう」

 メイル、マッシュ、リークも賛成の態度を示し、私達は駅から出て左側の道を進む。
 目の前には木々に囲まれた道が現れた。そこを通ると、開けた場所に出た。

「いいわね、ここなら誰にも見つからなさそう」

 メイルはこの場所が気に入ったようだ。マッシュも穏やかに頷く。

「リークはどう?」
「ナターシャ…自分は良いと思う」
「私も同じく」
「じゃあ、この地に居を構えるとしようかの」

 こうして居を構える場所は決まった。次に家を置くために辺りの藪や木々を伐採する必要がある。

「これを使うのじゃ」

 マッシュが取り出したのは、水晶を掘り出した時に使った斧みたいな何かとピッケルだ。このピッケルなら藪をある程度ならせるだろう。

「ありがとうございます」

 と、私もピッケルを受け取った時だった。

「君達!何してるんだ!」
「!」

 上の方から若い男の声が突如響いた。

「おーい!」

 声色からしてやや友好そうにも聞こえるが、警戒感は拭えない。
 しばらくして声の主が現れた。シャツにズボンと軽装の人間…若い男性だ。おそらく十代後半から二十代前半くらいだろうか。

「へへっ」

 若い男性がこちらを見て笑う。