私は後宮で暮らしていた時、汽車に乗った事がある。その汽車は皇族及び後宮専用のもので、車両の先頭には専用のロゴまでついていたほどだ。
汽車には勿論後宮と同じように寝泊まりが出来る場所や、食堂に浴室も完備されている。
勿論乗る時は貸し切りで、大人数を乗せて移動する。汽車の速度は緩やかだが、それでも揺れるときは揺れた。
「ナターシャ様、汽車の乗り心地はどうでしょうか?」
と、家臣や宦官に聞かれて、まあまあだ。と答えた記憶はある。
「懐かしいな…」
ホームで汽車を待っている時。ふと、口からそんな言葉が湧いて出たのに気づいた私は、慌てて口を押えるもリークには気づかれていたようだ。
「ナターシャ、どうした」
「いや、なんでもないわ」
(前世の話をリークにはしたくないし)
といってはぐらかしたのだった。そんな私をリークは不思議そうに見つめている。
「汽車はどんな感じなんだろうな」
「さあねえ…乗り心地良いといいんだけれど」
「そうだなあ…」
リークは少しだけ、緊張しているような表情を見せた。
「もうすぐ汽車が来ます」
アナウンスが流れて、30秒ほど。グレーがかった煙をたなびかせて、汽車がホームへと到着した。
「さあ、乗ろう」
マッシュとメイルに促され、私とリークも汽車に乗った。汽車の中は既に大勢の人で一杯になっている上に、後宮専用の汽車よりも通路や椅子は狭く感じる。
「よいしょ…」
移動するのも大変だ。私は背負っていたリュックサックを降ろし、窓際の席に座ると膝の上にリュックサックを置いた。その隣にリークがよっこいしょ。と座る。
「まもなく出発します」
アナウンスが流れ、そしていよいよ汽車が動き始めた。
ガタン…ガタン…
(どんな土地になるんだろうか)
いよいよ、新天地へと向かう時が訪れた。
汽車には勿論後宮と同じように寝泊まりが出来る場所や、食堂に浴室も完備されている。
勿論乗る時は貸し切りで、大人数を乗せて移動する。汽車の速度は緩やかだが、それでも揺れるときは揺れた。
「ナターシャ様、汽車の乗り心地はどうでしょうか?」
と、家臣や宦官に聞かれて、まあまあだ。と答えた記憶はある。
「懐かしいな…」
ホームで汽車を待っている時。ふと、口からそんな言葉が湧いて出たのに気づいた私は、慌てて口を押えるもリークには気づかれていたようだ。
「ナターシャ、どうした」
「いや、なんでもないわ」
(前世の話をリークにはしたくないし)
といってはぐらかしたのだった。そんな私をリークは不思議そうに見つめている。
「汽車はどんな感じなんだろうな」
「さあねえ…乗り心地良いといいんだけれど」
「そうだなあ…」
リークは少しだけ、緊張しているような表情を見せた。
「もうすぐ汽車が来ます」
アナウンスが流れて、30秒ほど。グレーがかった煙をたなびかせて、汽車がホームへと到着した。
「さあ、乗ろう」
マッシュとメイルに促され、私とリークも汽車に乗った。汽車の中は既に大勢の人で一杯になっている上に、後宮専用の汽車よりも通路や椅子は狭く感じる。
「よいしょ…」
移動するのも大変だ。私は背負っていたリュックサックを降ろし、窓際の席に座ると膝の上にリュックサックを置いた。その隣にリークがよっこいしょ。と座る。
「まもなく出発します」
アナウンスが流れ、そしていよいよ汽車が動き始めた。
ガタン…ガタン…
(どんな土地になるんだろうか)
いよいよ、新天地へと向かう時が訪れた。