このタイミングで窓から外を見ると、辺りがだんだんと暗くなっていくのが見える。

「雨でも降るのかしら…」
「ちょっと見てくる」

 リークは心配そうな顔をして、家から出て、ツリーハウスに登る。
 その間にも木々から差し込む光が消えていく。

「やはり雨が降りそうだ」

 戻ってきたリークが焦りの様子を見せながら、私に向けてそう言ってきた。
 するとその瞬間、勢いよく雨が降り出す。

「リーク、降ってきた…!」
「すごい雨粒だ」

 雨粒の音が凄まじい。これは雨ではなく、あられかひょうでも降っているかのような、そんな音に聞こえる。

「…畑を見てくる」
「何か手伝える事、あるかしら…?」
「いや、危ないからナターシャはここでいた方が」

 リークが言い終わらない内に雷鳴が轟いた。驚いた私はつい声を上げてしまう。

「わあっ!」
「これはまずいっ…!」

 リークは飛び出すようにして、中庭の畑に向かう。

「早く収まらないかしら…」

 雨の勢いは留まる事を知らず、更に雷鳴も引っ切り無しに聞こえてくる。しかも稲光がパッパッと白い閃光のように光り出した。 

(大分近いな…)
  
 そんな中、リークがずぶ濡れで戻ってきた。私はずぶ濡れ姿のリークを見るや否や、タオルを取り出し彼を出迎える。

「ずぶ濡れじゃない、大丈夫?」
「大丈夫だ。狼男はやわじゃないからな。ちょっと着替えてくる」
「畑はどうしたの?」
「シートを被せてきた。あれなら大丈夫なはずだ」

 リークはそう言うと、自室に入った。彼が部屋に入った瞬間、派手な閃光と共に雷鳴が大きく轟く。

「きゃあっ!」

 地面を割るような轟音。思わず肩を跳ね上げさせてしまう程だ。
 雨の勢いも止む気配は無い。

「早く止んでほしいのだけど」

 着替えたリークがリビングに戻ってきた。濡れた服をハンガーにかけて、ストーブの近くに置く。

「こんなのは珍しいな」
「そうなの?」 
「ああ、ここまで酷い嵐は中々無い」

 気がつけば風の速さも増しているような気がしている。これでは寝られそうに無い。