と言う訳で、私は編み物に挑戦してみる事になった。前世では勿論編み物なんてやった事は無い。モアとしてもやった事は…あるようなないような。

「じゃあ、色々教える」
「リーク、ありがとう」

　まずはリークが一通り手本を見せてくれる事になったのだった。リークの真似をゆっくりしながら、1つずつ毛糸を編んでいく。

「あってる？」
「ナターシャ、もうちょっと引っ張っても良いぞ」
「こうかしら？」
「そうそう」

　なんとなくコツを覚えて来た気がする。あとかぎ針の使い方にも若干慣れて来た。

「大分進んできたな。折り返し地点に来たら言ってくれ」
「分かったわ」
「ちょっとお湯沸かしてくる」

　リークがいない間もじっくりと編み物を進める。しかしある違和感が芽生えつつあった。

（ちょっと目が疲れて来たか…？）

　これは目の疲労感だ。目の奥がつんとしている。私は一旦編み物を止めて、天井を見上げる。

（細かい作業だからだろうか…？）

　とりあえず、続きは昼過ぎにしよう。そう考えていた時何やらごたごたという物音が聞こえてくる。リークに何かあったのだろうか。

「リーク？」

　部屋を出るとリークがリビングにいた。彼の足の上にはあちこち傷だらけの茶色いウサギが座っていて身震いしている。

「リーク、そのウサギは…」
「中庭からちょっと進んだ先に倒れていた。誰かに襲われたのかも」

　リークは濡れタオルでウサギの身体を拭いている。ウサギは身体を拭かれるたびに傷が染みるのか大きく体を震わせている。
　このまま見ているだけではいけない。ふと私はそう感じたのだった。

（私もリークに助けられたし…）
「ねえ、リーク何か手伝える事ある？」
「じゃあ、身体を拭くの変わってくれないか？薬草を取って来る」
「分かったわ」