カレーライスは主に軍の者がよく食べる代物ではある。大量に作れて、野菜肉炭水化物が取れてかつ暖かいという事がもあってか軍…特に海軍では人気の高いメニューである。

(懐かしいな)

 毎年陸軍海軍のカレーコンテストが行われ、私も妃だった時は出席した記憶がある。

「スパイスはあるの?」
「ある。カレー粉もある」

 いつの間にかリークは使い古された鍋に水と材料、スパイスとカレー粉を入れてかき混ぜていた。野菜の一部は別の鍋に入れている。

「これは?」
「夕食用だ。スープにしようと思う」

 カレー粉とスパイスの匂いが鼻腔を刺激する。とても良い匂いだ。するとリークは火を見ておいてくれと私に言ってキッチンから出ていく。

「えっ…えっ!」
(火加減は…詳しい部分はわからないしなあ…)

 …とりあえず釜戸も鍋にも何も触れずに、ただ様子を見る事にしたのだった。

 それからリークが戻り火加減を見たり、お米の炊き方を教えて貰ったりしながらなんとかカレーライスが完成したのだった。
 アンティーク風な大きなお皿に炊けた白米を盛り、その上にルーをかける。スプーンは後宮で使っていた銀製のものではなく木彫りのものだ。

(ごはんが進みそうな匂いだ)

 私がじっとカレーライスを見つめていると、早速白米大盛りなカレーライスをかき込み始めているリークは食べないのか?と尋ねる。

「ああ、まさかカレーライスが食べれるとは思ってなくて」
「食べた事無いのか?」
「あるにはあるけど…」
「さあ食べろ、うまいぞ」

 リークの自慢げな笑みに触発され、私はスプーンを掴むと、カレーのルーとご飯を小口サイズに掬い取る。

「じゃあ、頂きます…」