その花は私が前世で何度も目にしたものだった。前世で私が生まれ育った屋敷にも、後宮にもあったものだ。
「ナターシャの花だよ」
店主はそう自慢気にナターシャの花を紹介する。花の形はバラとポピーを足して2で割った感じの形だ。
「ナターシャの花…」
リークが興味深そうに見ているが、私はその花が欲しい気分にはとてもなれない。
「行きましょう」
「でも、ナ…」
リークはナターシャと言いかけたが、口をつぐみ店主に一礼して私と共に店を去っていく。
そしてリークはネックレスを再度つけた。それを見て私はナターシャの花に興味を抱いていた彼へ、謝罪の気持ちを伝える。
「リーク、ごめんなさい」
「…もしかして嫌な思い出でもあったか?」
リークの指摘は大体核心をついていた。だが嫌な思い出と一纏めにするのも少し違う気もするが。
「まあ、そんな感じかも」
「そうか。ナターシャ、すまなかった」
「いやいや、リークは悪くないわよ」
私は謝るリークを両手で制したのだった。
(皇帝…)
その後も様々な店を見て回り、気に入ったものは購入したりを繰り返していく。
「お腹空いたな」
と、リークが呟いたので私は近くに何か食べ物を食べる店が無いか辺りを見渡す。
「あれは?」
私が指さした先には大衆食堂がある。私からの視点ではアパルトマンの1階が、ほぼ丸々大衆食堂になっているように見える。更にそこには既に人がちらほらやって来ているのが見えた。
「じゃあ、そこにいこうか」
「決まりね」
ネックレスを外し、大衆食堂に入る。中には複数の絵画が飾られており、年代ものの木造りのテーブルと椅子が雰囲気を醸し出している。
「いらっしゃいませ!」
威勢の良い若い女性のウェイトレスが透明のグラスに入った水を2つ持ってきた。
「ご注文は何になさいますか?」
「ナターシャの花だよ」
店主はそう自慢気にナターシャの花を紹介する。花の形はバラとポピーを足して2で割った感じの形だ。
「ナターシャの花…」
リークが興味深そうに見ているが、私はその花が欲しい気分にはとてもなれない。
「行きましょう」
「でも、ナ…」
リークはナターシャと言いかけたが、口をつぐみ店主に一礼して私と共に店を去っていく。
そしてリークはネックレスを再度つけた。それを見て私はナターシャの花に興味を抱いていた彼へ、謝罪の気持ちを伝える。
「リーク、ごめんなさい」
「…もしかして嫌な思い出でもあったか?」
リークの指摘は大体核心をついていた。だが嫌な思い出と一纏めにするのも少し違う気もするが。
「まあ、そんな感じかも」
「そうか。ナターシャ、すまなかった」
「いやいや、リークは悪くないわよ」
私は謝るリークを両手で制したのだった。
(皇帝…)
その後も様々な店を見て回り、気に入ったものは購入したりを繰り返していく。
「お腹空いたな」
と、リークが呟いたので私は近くに何か食べ物を食べる店が無いか辺りを見渡す。
「あれは?」
私が指さした先には大衆食堂がある。私からの視点ではアパルトマンの1階が、ほぼ丸々大衆食堂になっているように見える。更にそこには既に人がちらほらやって来ているのが見えた。
「じゃあ、そこにいこうか」
「決まりね」
ネックレスを外し、大衆食堂に入る。中には複数の絵画が飾られており、年代ものの木造りのテーブルと椅子が雰囲気を醸し出している。
「いらっしゃいませ!」
威勢の良い若い女性のウェイトレスが透明のグラスに入った水を2つ持ってきた。
「ご注文は何になさいますか?」