私はまずは野菜スープを一口飲む。煮込まれた野菜とコンソメの味がしっかり染みていて美味しい。

「うん、美味しいわね」

 スープを飲むと、胃がじんわりと温まる。この心地よさは変わらない。

「お気に召して頂いて、良かったです」

 次に食べるのはどれにしようか。卵サンドにしよう。

「んむっ…」

 卵の濃厚な味わいとマヨネーズの酸味、塩と黒こしょうの味がどれもバランスよく配置されていて、とても美味しい!
 その勢いでハムサンドも口に入れる。ハムの塩気と柔らかい食感はパンにとてもあっている。

「美味しいわ、美味しい!」
「む…我ながら良い出来です」
「もっと喜んでもいいのよ?」
「美味しい!!…こうでしょうか?」

 リークの笑みがどこか初々しい。
 そして最後は干し肉のサンドイッチ。味はどうだろうか。

「ん…」

 干し肉は思った以上に柔らかい。味も濃厚でパンと合う。

「美味しいわ、なんだかおしゃれな味」
「おしゃれな味…?」
「なんだか、洒落ている感じというか」

 こうして、サンドイッチとスープを食べ終えた時、雨は小康状態になっていた。

「もう止みそうですわね」
「はい。この後畑見に行ってみます」
「そうね…宮廷ごっこ楽しかった?」

 リークは一瞬目を泳がせたが、すぐに楽しかったと口にしたのだった。

「じゃ、着替えて来るわね。口調も元に戻して良いから」
「ああ」

 その後、私はドレスから私服に着替え、ドレスをクローゼットにしまう。

(後宮にいた時は楽しかったけれど…今はもうあの頃の私ではない)

 ほんの少し寂しい感情を覚えたが、私はそれらを胸の奥にしまったのだった。

「リークを手伝いにいくか」