夕食は、キジ肉をクリームソースで野菜と共に煮込んだものがメインだった。シチューとはまた違う食感とまろやかさに、ついついおかわりしてしまったのだった。
 その夕食が終わり、自室でのんびりしていると、リークが部屋に入ってきた。

「良かったらツリーハウスで星でも見ないか?」
「星?」
「ああ、今日は良く見えそうだ」

 早速ツリーハウスに向かおうとして部屋から出ようとすると、リークが止める。

「一応防寒具を持っていった方が良い」
「そうね…何かあるかしら」
「ちょっと持ってくる」

 そう言ってリークが持ってきたのは、毛糸の羽織と大きな首巻だった。これなら大丈夫そうだ。

「じゃあ行きましょう」
「コーヒーも用意したぞ」

 ツリーハウスに登り、部屋に到着する。窓から景色を眺めると、星々が瞬いているのが良く見える。

「っわあ…」

 星々はどれも色鮮やかで、まるで宝石のように見える。

「今日は特によく見えるな」
「そうなの?」
「ああ」
「リークは星好きなの?」
「うん、星を眺めるのは好きだ。ナターシャは?」

 後宮時代、こうして星を眺めた事はあまりなかったので今思えば新鮮に感じる。

「好きかも」
「そうか、好きなだけ眺めよう」
「そうね」

 辺りは鳥の鳴き声と、時折風が吹くのに併せて揺れる木々の音だけが聞こえて来る。

(こういう雰囲気もいいな)

 星々に照らされて、私はリークと共にコーヒーを飲みながらゆっくりとした時間を過ごした。

「リーク」
「なんだ?」
「こういうのもいいわね」
「そうだな…」