昼食は簡単にサンドイッチを作る事になった。しかし…

「せっかくだ。凝ったものも作ってみようか」
「凝ったもの?」
「チキンを入れてみようと思う」
「えっチキン?」

 そう言うとリークは猟銃を持って風のように家を出たのだった。

(ええ…)

 と言う訳で、私は先に作りかけの卵サンドを作っておく事にした。卵は今お湯の中で煮ているのでもう少しすれば完成だろう。

「もういいかな」

 火を消してお湯から卵を取り出し、冷水で冷やしながら殻をむくと丁度良い硬さに仕上がっていた。卵を砕いてマヨネーズと合わせる。そうするとそれをパンに塗れば卵サンドの完成である。

「出来た」
(何とか、できた…)

 ここまで料理の工程を進められるようになったのは、成長を感じる。リークとよくキッチンに立っていたのが功を奏したのかもしれない。

(やっぱり何事もまずはやってみないと、か)

 するとリークが帰ってきた。左手には仕留めたオスのキジが握られている。

「おかえり」
「ただいま。今から下処理してくる」
「ええ。卵サンド出来たわよ」
「わかった。終わったら行く」

 その後、外の中庭でキジの下処理を済ませたリークがキッチンに戻ってきた。キジの肉をフライパンで炒めて醤油と砂糖でソースを作り、キジの肉に掛けると照り焼きチキンが出来る。
 てりてりとしたソースと香ばしい風味が食欲をかきたてる。

「これをサンドイッチにしよう」
「おいしそうね」
「ああ、何個か作ろうか」
「ええ!」

 他にも野菜のサンドイッチを作ると、お皿に乗せてそのまま木造りのケースに入れる。
 理由は、ツリーハウスで食事をする為だ。

「ナターシャ、サンドイッチはこっちが持とう」
「いいの?」
「勿論」
「じゃあ、私は水を用意するわ」
「いや、それも持つ」

 なんだか、申し訳ないが全部リークが持ってくれる事になったのだった。