あれから私はぐっすりと寝てしまい、気が付けば深夜帯を迎えていた。

「…?」

 お腹の痛みは大分ましになったが、今度は身体全体がしんどいような、関節が鈍く痛むような…そんな感覚を覚える。

(そう言えば、風邪をひき始めているかもとは言ってたな…)

 ゆっくりベッドから起き上がり、机の上に置かれたお白湯を飲む。

「頭が痛い…」

 だがこんな夜遅くにまたナジャやメイル、ナジャの侍医を呼ぶのはなんだか申し訳ないという気持ちが、胸の中に湧いて出てくる。
 これが前世の、後宮で住まう私だったら、即医者を呼んでいただろうが。

「寝ていよう…」

 もう一度ベッドに入り、目をつむる。

(ずきずきする…)

 お腹に力は入らないし、頭は痛いし、倦怠感に関節痛…これは正直きついし、寝ても楽にならない。
 だが、こんな時間だ。朝までは寝ている方が良いだろう。

(リークを起こすのもなあ…)

 ぎゅっと目をつむり、朝日が昇っていくまで耐える。
 耐えて耐えてちょっと眠ると、ようやくその時が来た。だがまだ頭痛も倦怠感も残ったままだ。

「誰か呼ぼうか…」

 ずきずき痛む頭で、誰を呼ぶかを決める。だが思いつかないのでとりあえず部屋の外に出て誰かを探す事にしたのだった。

「誰か…」

 すると、運よくひんやりと冷える廊下で寝間着姿のナジャとぱったり出会う。ナジャの髪は寝癖があちこちについているのが分かる。

「ナターシャ、大丈夫?」
「ごめんなさい、あれからまた悪くなっちゃって…」
「うそ?!」
「頭が痛くて、身体がだるくて…」
「分かったわ、部屋で待ってて。呼んでくるから!」

 ナジャが勢いよくどこかへと消え去った。私は一旦部屋に戻り、ベッドの上で待機する事にした。
 その間にも身体の怠さが増していくような感覚を覚える。