するとナジャが急に何かを閃いたかのような、顔つきに変わる。

「良い事思いついたわ、裏山で狩猟しない？」
「狩猟？！」

　その場にいた、私含めてナジャ以外の人達が一斉に驚きの声を上げる。

「裏山には鹿や熊がいるから、それらをお昼と夕食にしましょう。勿論、リークも料理作りにも参加してもらってね」

　という訳で私達は、急遽別荘の裏山に向かう事になったのだった。裏山には狼男の料理長も同行してくれる事になる。

「よーし、バンバン撃っちゃうわよ！」

　ナジャは元陸軍兵士というだけあって、狙撃には自信があるらしい。
　料理長もそれなりには高い腕があるようだが、リークも負けていられないと言った顔つきを見せている。

（バチバチしてるなあ…）

　早速、リークが獲物を見つけた。

「ナターシャ、下がって」
「うん」
「ふっ」

　迷いのない、正確で素早い射撃。リークが捕らえたのは立派な角を持つオスの鹿だった。

「リークが一番乗りか、負けてられないわね！」
「こっちも料理長の名にかけて！」

　リークの射撃と狩猟が、ナジャと料理長の闘志に火をつけたようだ。

（すごい事になってきた…）

　3人の放つオーラと負けん気に蹴落されかけな私は、メイルとマッシュとウサギと一緒にキノコを探す事にした。
　ウサギは大分魔力慣れしたようだ。そしてメイルや私に向けて視線を投げかけたり、匂いを嗅いだりしてくる。
　
「あちらはすごい燃え上がっちゃってるからね…」
「そうですね…」
「若いもんはすごいのう…」

　すると、私の左足元に白いキノコが生えているのを見つけた。

「メイルさん、これは？」
「毒ね。害虫駆除の薬の元になるやつよ」
「な、なるほど…」

　その後何とかマイタケを採取し、狩猟は終わったのだった。
　別荘へ帰還すると昼食作りが始まる。昼食を作るのは料理長率いるコックとリーク。私達は食堂で休憩する事になった。

（手伝いたかったけど、仕方ない）

　私も手伝うと進言はしたものの、リークからはこう言われたのである。

「ナターシャ、疲れたろうしここは休んだ方が良い」