それから朝食の時間が来た。朝食は、焦げ目が薄くついた食パンに、ソーセージとスクランブルエッグとオニオンスープだ。

「どうぞ、ごゆっくり。またお皿取りに伺います」

 コックが部屋まで朝食を運んでくれるとは有り難いサービスだ。

「美味しそうね」
「ああ、これは味が楽しみだ」

 まずは、身体を温める為にオニオンスープを一口飲んでみる。玉ねぎのコクと、バターの甘い味わいが合わさり濃厚な味となっている。

「温かいわ…」

 次に食パンを一口大にちぎって、オニオンスープにつけて食べてみた。すると食パンが柔らかくなって、オニオンスープの濃厚な味わいと食パンの塩気が絡み合う。
 ソーセージは火にかけたものだ。こちらもパリッとした食感が非常に美味しいし、スクランブルエッグも柔らかくてほんわかした味がとても美味しい。

(あの料金でこの料理…すごいな)

 コックの練度は相当に高いのだろう。朝食を全て食べ終えると、ごちそうさまとリークと共に挨拶をした。

「とても美味しかったわね…」 
「ああ、すごく美味しかった」

 この満足感。リークの朝ご飯と同じくらいの素晴らしさだった。
 ここで、部屋の扉をノックする音が聞こえて来た。

「コックです。お皿を回収しに来ました」

 コックに朝食のお皿を渡していると、ナジャに、メイルとマッシュもやって来た。ナジャは私達がいる部屋番号を受付嬢から聞いてこちらへ来たようだ。

「あら、あなたは?」

 気付いたメイルがナジャに声をかける。

「初めまして。私は、ナターシャって言います。呼ぶ時なナジャで大丈夫です。昨日、ナターシャとリークに話したんです、うちの別荘に来ないかって」
「へえ…少し話を聞かせてくれない?」

 こうしてナジャにメイルとマッシュにと話を進めていった結果、ナジャの別荘にメイルとマッシュも住めるようになったのだった。

「有り難いわ、ナジャありがとう」
「ナジャ…すまんのう」
「いえいえ。これくらい!」

 私達は荷物をまとめ、1階で料金を払いチェックアウトしてからナジャの別荘に向かう事になった。