確かに彼女の言う通りではある。戦争がはじまり更にこの国が劣勢となれれば、危ない。

「そうだ、名前は?私はナターシャっていうんだけど」
「私も、ナターシャだけど…」
「うそ?!」

 私は口を開けて、大きな声を出して驚く。私(の前世)と同じ名前を持つ女性とこうして巡り合えるなんて思ってもみなかったからだ。

「でも、普段はナジャって呼ばれてるから。ナジャって呼んで」
「分かったわ、ナジャ」

 ナジャはにこにこと微笑む。

「じゃあ、これからよろしくね。ナターシャ」
「ええ、ナジャ」

 私とナジャは互いに握手を交わす。そしてお風呂から出たのだった。
 着替えて風呂場から出ていくと、入り口付近でリークと再会した。

「ナターシャ、その人は?」
「初めまして。私もナターシャって言うの。ナジャって呼んで」
「初めまして。リークだ。よろしくナジャ」

 リークも長身だが、リークの隣にいるナジャも改めてかなりの体格の良さに映る。

「じゃあ、おやすみなさい。明日の朝また部屋を訪ねていいかしら?別荘に案内するわ」
「ナターシャ、別荘って?」
「ああ、実はナジャは…」

 事の次第をリークに伝えると、リークは驚きつつも有り難いと言って、ナジャへ感謝の意を示したのだった。

「良かったな、助かった…」
「そうね」
「と言う訳で明日の朝別荘に案内するから。じゃあ、おやすみ」

 ナジャはそう言って1人、鼻歌を歌いながら自分が寝泊まりしている部屋に戻っていった。

「別荘ってどんな感じなんだろうか」
「ナジャ貴族出身だから、それなりに豪華なんじゃないかしら?」
「そうか…楽しみだな。キッチンとか広いのだろうか」
「もしかしたらコックがいるかもしれないわよ?」
「ああ、そうか…コックに交じって料理…はだめか」

 リークと軽い雑談を交わしているうちに部屋へと到着する。