「ありがとね。もう帰っていいよ」
その言葉にため息をつきながら屋上から出て行こうとするマリアちゃん達。
マリアちゃん達なんて居たところで決して味方になんてなってくれなくて、寧ろ敵だとわかってるのに、それでも行かないで欲しいと思ってしまった。
この先輩と2人きりになることが、なによりも怖かった。
──ガタンっ!
やけに大きな音で開いたドアに驚いて。
「──っにしてんだよ!」
聞き覚えのある声に、ものすごく安心して。
「は? 地味野!?」
「なに、わざわざ来たの?」
「え、本当にそういう仲だったの?」
ざわざわと騒がしくなった外野を全て無視して、私の元に一直線に来てくれる。
「綾瀬さん」
顎にあった手がぱしりと弾かれて、私の肩にそっと手が触れる。
「……青野、くん」
会いたくて仕方のなかった人が目の前にいることに、ぽろりと涙がひとつこぼれ落ちた。