マリアちゃんを筆頭に数人に連れられて校内を歩く。
上へ上へと進んでいく道に嫌な思いが湧き上がりそうになって、辿り着いた屋上にあの時のことがどっと頭に湧き上がる。
途中、青野くんに入れたメッセージは、"ごめん、遅くなる"とたったそれだけだった。
告白じゃないから。そう誰にでもなく言い訳をして。
そのメッセージさえも送っている途中に取り巻き達に見つかって、何やってんのとスマホを取り上げられた。
「何?誰?」
「青野? 青野って地味野のこと?」
「"ごめん、遅くなる"だって! 図書室で会う約束してたんだぁ〜。いいの? 行かなくて」
「てか地味野って。おもしろ。変なのつまみたくなったの?」
やめてやめてやめてやめて!
きらきらとしたものが、ぐちゃぐちゃに塗りつぶされていく。
私の気持ちだけでなく、青野くんのことまで無遠慮に土足で踏み散らかされて、それでもあの時みたいに言い返すことは出来なかった。
だってあの時とは違って、今日はマリアちゃんがいたから。