フッと覚醒した脳内。
多分、カーテンの光り方からして、まだベッドに入り込んで数時間しか経ってないんだろう。

なんとなく、ぽやぽやした意識の中で、隣にもぞもぞと手を伸ばすと其処は、ひんやりとしたシーツ。

そこで、のっそりと起き上がって目を擦りながら、本来いる筈の存在を探す。


すると、ベッドから落ちてしまうんじゃないかという、ギリギリの所ですぅすぅと寝息を立てている、愛しい人を見つける。


『あーぁ。まーた一人で丸まってる…』


子供の様に丸まって眠る、その姿は本当に何時見ても可愛いなと思うけれど…。


『風邪、引いちゃうよ…』


私に寒さを感じさせない様にと、二人分の毛布をこっそりと此方に寄せて、少し眉間にシワを寄せて寝てる彼に、私は静かに毛布を掛け直す。

すると、小さく溜息を付いて、もぞりと此方を向くと、直ぐに私にまた全ての毛布を渡そうとしてくる。


『もー…そうじゃなくって…』


この優しいスパダリの彼氏様は、眠っていてもその姿勢を絶対に崩さない。

本当は起きてるんじゃない?

と思う程に…。


だから、私は冷たくなった彼の胸板に顔を埋めて、背中に手をぎゅうっと回し、彼の寝返りを阻止する。


そうして、あやす様に背中をゆっくりと撫でた。
そうする事で、これ以上ベッドの隅っこに行かない様に…私から離れて行かないように…。


「ん、のの…」

「此処にいるよ…」

「ん……」


私の一言で、安心したかの様にまた深い深い眠りに落ちていく彼。


そう、これでいいの。
私からずっと離れないでいて?

二人、このままゆっくりと眠りに落ちて、明日になったらまた笑い合おう?