しかし・・二人の思いとは裏腹に、病魔は着実に進行していました。
5ヶ月後・・レイチェルの体はほとんど動かなくなっていました。首から下は動きません。
「レイチェル、りんご食べる?」
サラは寝ているレイチェルの傍らに座りりんごを剥いていました。
「動きたくない時、じっとしてるのは平気だったけど・・動きたくても動けないってのは・・辛いもんだね。」
「この子はしっかり動いてるわよ。」
サラはレイチェルの手を取りお腹にあてました。
「この子をみならって少しでも動かないとね。」
「そうだな。」
レイチェルが返事をすると、サラが叫びました!
「悪魔・・・・・!」
「え!?」
レイチェルが天井を見上げると、そこには悪魔がいました。
「ルシファー・・なぜお前が・・」
{・・こんにちはガブリエル・・あなたの魂を切り離しにきました・・}
「ま・・まってくれ・・まだ時間はあるんじゃないのか?」
{ええ・・でもミカエルの命令でね・・}
「ミカエル・・」
サラは驚きました・・
「サラ・・悪魔が見えるのか・・?」
レイチェルも驚き、サラに聞きました。
「・・ええ・・」
次の瞬間サラがお腹を押さえながらうずくまりました。
陣痛がきたのです。
「い・・痛い・・うぅ・・産まれる・・・!!」
「サラ!サラ!・・」
「誰かー・・・誰か!・・来てくれー!!」
レイチェルは力をふりしぼって叫びました。 サラは駆けつけた医師によって運ばれていきました。
{・・さあガブリエル・・}
悪魔は大きな鎌を振りかぶりました。
「まっ・・待ってくれ・・せめて・・せめてこれから産まれてくる子供を見てからにしてくれないか・・」
レイチェルは悪魔に頼みました。
「それは叶わぬ夢なのです。」
部屋の入り口にロジャーが立っていて、レイチェルにそう告げました。
「なぜなら、あなたの魂がこれから産まれてくる子供に入るのですから。」
「え!?」
レイチェルは驚きました。
「天使の魂は永遠なのです。そして七大天使の数も決まっています。」
「この世界での肉体には限界があるのです。ですからこの私が魂のコーディネートを
しているのです。あなたに相応しい体をね。」
「でも今回の例は特異でした。天使同士の子供は産まれないと思っていましたので。」
「やはりサラも・・・」