「まったく意味が分かんないんですけど」

友達の口調がちょっとイラ立っていることに私は気づいていた。

私だって全然愉快じゃない。

「確か君達は二年生から同じクラスだったね?」

「そうです」

「それで、彼女だけが三年から一緒になった。さっき冬休みに一緒に遊びに行ったって言ってたけど、クラスは違ったんだよね?」

先生がだんだん刑事に見えてきた。
私達は完全に容疑者で、事情聴取されているんだって思った。

「私達ともう一人、同じクラスだった子が居ました。三人で仲良くしてたんですけど、もう一人の子は三年ではクラスが離れちゃって。その子と、一年の時に同じクラスだったのが彼女です。その繋がりでたまに廊下で会って話をしたりしてたんです。それで一緒に遊びに行こうよってことになったんです。本当はもう一人の子も来るはずだったんですけど家の用事で来れなかったんです」

私の説明に、友達がうんうん頷いて、この状況は決して良くないけれど、心強かった。

「なるほどね。実はね、やっぱり君達はずっと一緒だから、そのさ…関係性は深いでしょ」

「それはそうですけど」

「それがね、疎外感を感じるって言うんだよ。一緒に居ても自分だけが入り込めない雰囲気があるって。何かを言われたりされたわけじゃないけど、邪魔者だって言われてるみたいだって」

「そんなの言いがかりじゃないですか!被害妄想ですよ!」

いよいよ本気で怒り出した友達が大声を出した。

「ショックですよ!仲良くしてたのに」

「私もショックです。まるで私達がイジメをやってたみたいじゃないですか」

「いやいやそこまでは…ね?」

「同じです。先生が聞いてることは」

お姉ちゃんの世界を壊したあの人達と、自分が同じだなんて思いたくなかった。

疎外感を感じていたのならそういう雰囲気を少なからず出していたのかもしれない。

自分達にしか分からない話題や思い出話、笑いのツボなんかで壁を作っていたのかもしれない。

汲み取ってあげなかった私達がまったく悪くないとは言えないけれど、だったら自分から歩み寄る努力はしなくていいのって、思ってしまった…。

その傲慢さが彼女を退学まで追い込んだのかな。
それじゃあイジメと同じだ。

歩み寄りたくてもできない人だって居る。
私だってそうだ。
一人になるのが怖くて、誰の中にも存在していないのが怖くて、笑って誤魔化したり、自分の意見を殺している。

自分が私達に合わせればいいじゃんなんて心の底から思っていたわけじゃない。
仲間外れも無視もしていない。

でも寂しさを感じていた彼女が、学校に来れなくなるほど悩んでいたことに気づこうともしなかった。

私も…彼女の世界を変えてしまったんだ…。