この世界には。

それはそうだ。
この世界では春華は一人ぼっち。

でも、もしかしたら春華が生きてきた世界でも、彼はもう一人ぼっちだったのかもしれない。

じゃなきゃ千年も過去になんて、たった一人でやってくる覚悟、私には絶対にできない。

家族は居ないけれど、“グループ”の人達は家族に近いような気もする。

顔見知り以上の友達だっていると思う。

それでも春華が“大罪を犯した”って罪が、同族の中だけでも残っているのなら、それを払拭しなければ春華は元の世界には帰れない。

その手助けができるのは私だけなんだ。

選んでもらえたっていう感覚が私の胸をギュッと締め付けた。

特別なわけじゃない。
ここに私しか居なかっただけ。

この出会いだってただの偶然で、春華が降り立った場所が一メートル違えば隣のあの子の家に行っていたかもしれない。

それでも運命だって思いたかった。
私を求めてくれたんだって思いたかった。