「俺が今から話すこと全部、本当のことだから。信じてくれる?ってか信じてもらわなきゃ困るんだけど…。でもすぐには無理だと思う、やっぱ。でもそのうち証拠も見せるから」

「春華、早く話して。じゃなきゃ信じるも何も分かんないよ」

「そうだね。あのさ、俺は…ほんとは…その、ヨヅキと同じ時間には生きてないんだ」

「どういうこと?死んでる…ってこと?」

「ううん。生きてる。…千年先で」

「千年…えっと…はい?」

「あはは。思った通りの反応だ」

「笑い事じゃないでしょ!全然意味が分かんない。からかってんの?」

「ううん。俺は真剣だよ。だからヨヅキも真剣に聞いて欲しい。すぐには信じてもらえなくてもしょうがないって分かってる。でも俺が話すことは全部本当のことなんだって思って聞いて欲しい」

もう春華の話を聞かないって選択肢だってある。
こんなファンタジーみたいな話。

でも春華を拒否できないくらい、彼の眼差しは強かった。
真剣だった。
だから春華から目が離せなかった。

「俺はちょうど千年後、三千二十三年の世界から来たんだよ」

「さんぜん…にじゅうさん…」

「うん」

「日本?」

「うん」

「何県?」

「たぶん、こことそんなに変わらない場所」

「なんでうちに来たの?」

春華はちょっと考えてから、ふわっと笑った。
とてもやわらかい笑い方だった。

「それはそのうち、ね」