「コード0403、コード0403、指令だ」
三千二十五年。
指令を伝える音声がブースに響く。
指令に行く前に、モニターを覗いた。
もうすぐ春が一番春らしくなるって言うのに、この世界には相変わらず桜は咲かない。
俺はこの目で、君の隣で見た桜の、たとえがたい淡い色、不規則に散る花びらの動き、泣き出しそうな君の笑顔を忘れない。
君の願いを叶えたクリスマスイブ。
その何日も前に、俺は″一年間に一度″の願いがリセットされていた。
だけど君には言わなかった。
言ってもあの世界には願いを叶えられる人間は存在しないから無意味なんだけど、もしも叶うなら俺は一生君と生きていける世界を願っていたかもしれない。
君の一生に一度の願いも、そうなんじゃなかなって本当は思っていた。
でも違った。
君は二人にとっての″正しい世界″を望んだね。
その決断がどれだけ君を苦しめただろう。
俺を忘れてしまっても正しい世界で生きて生きて生き延びて、未来のあなたの命へと繋げると誓った君はとても綺麗な人だった。
三千二十五年。
指令を伝える音声がブースに響く。
指令に行く前に、モニターを覗いた。
もうすぐ春が一番春らしくなるって言うのに、この世界には相変わらず桜は咲かない。
俺はこの目で、君の隣で見た桜の、たとえがたい淡い色、不規則に散る花びらの動き、泣き出しそうな君の笑顔を忘れない。
君の願いを叶えたクリスマスイブ。
その何日も前に、俺は″一年間に一度″の願いがリセットされていた。
だけど君には言わなかった。
言ってもあの世界には願いを叶えられる人間は存在しないから無意味なんだけど、もしも叶うなら俺は一生君と生きていける世界を願っていたかもしれない。
君の一生に一度の願いも、そうなんじゃなかなって本当は思っていた。
でも違った。
君は二人にとっての″正しい世界″を望んだね。
その決断がどれだけ君を苦しめただろう。
俺を忘れてしまっても正しい世界で生きて生きて生き延びて、未来のあなたの命へと繋げると誓った君はとても綺麗な人だった。