「正しい時間の中で私達は必死で生きよう。どんなに苦しくてもどうにもならないって壁にぶつかっても、何度失敗しても。生きて生きて、私は春華の命に繋げるから。春華を正しい世界で、劣等生なんてもう誰にも呼ばせない。幸せの意味を教えてくれてありがとう。春華、幸せになってね」

「その願いを叶えれば俺はココから消えるしヨヅキは俺を忘れる。ヨヅキと俺が同じ遺伝子だったとしても、それは平等に…きっと止められない。それでも願うの?」

「願うよ。春華がこの世界に来た意味を思い出して。その中には私を救たいって想いも確かにあったと思う。でも一番は、そうじゃないでしょ?春華が元の世界できちんと認められる為に、あなたはあなたをしっかりと生きていく為にこの世界に来た。春華はもう大丈夫。その代わりにね」

「うん…」

「春華だけは私を憶えていて欲しい。私は忘れてしまうけど一緒に生きた時間を、桜のことも花火のこともぜーんぶ!憶えててね」

「忘れない」

「絶対だよ?」

「絶対に。忘れない」

春華を目に焼きつける。
明日はもう、ここには居ない。
私の記憶の中にも、この世界のどこにも。

二人が一緒に生きていける未来は、この世界のどこにも無い。

別々の場所で、二度と逢えない場所で、いつか交わる命を信じて、がむしゃらに生きていく。