競技が進むにつれ、白組は得点をぐんぐん伸ばし、午前の部の最終種目、団対抗リレー女子の部で、紅組に追いつくか追いつかないかの白熱した戦いを終えたところで、一旦昼休憩となった。
みんなのすがすがしい汗と笑顔が、陽射しにまぶしく光る。
空は秋晴れ。
風もなく、汗ばむ陽気。
体育祭日和だった。
だけど学ランの中は、汗でびっしょりだった。
自分が出る競技以外、今日はずっと学ランを着ている。
もちろん強制ではないけど、こっちの方が、応援に力が入るのだ。
「吉川さん、お疲れ様」
声の方を向くと、星君が駆け寄ってきた。
星君も、学ランを着ている。
「お疲れ様」
「学ラン姿、だいぶ様になってきたね」
「そ、そうかな」
なんだか、照れる。
私が着ている学ランは、星君が以前着ていたものだ。
星君は中二の時にぐんと背が伸びて制服が体に合わなくなり、買い直している。
そのため、私が応援団長に決まったとき、その学ランを譲ってもらったのだ。
星君にまじまじと見られて、なんだか急に恥ずかしくなった。
__星君の学ランを、私、着てるんだ……
急にそんなことを意識し始めてしまい、顔に熱がどんどん集まって来る。
「男子って、すごいね。こんな重い服を、いつも着てるんだもんね」
火照り始める頬を誤魔化すために、自分でもよくわからないことを口走った。
そんな話にも、星君は、「そうかな。女子のセーラー服と、そんなに変わらないと思うけど」なんて真面目に答えてくれる。
そうしている間にも体中が熱くなってきて、頭もぼうっとしてきた。
爽やかな汗を流しながら話す星君の声が、遠のいていく。
そして私の意識は、一瞬、ぷつりと途切れた。