そんな空気を割くように、羽賀先輩があっくんの肩を組む。


「藍原、校内清掃のボランティアに参加してたみたいなんだ。今、たまたまここで会って」


会ってというよりは、羽賀先輩に呼び止められた。

だけど、先輩はわたしがこっそり試合を見るために校内清掃に参加したと気づかれないために、いかにも偶然を装ってくれる。


「帰る方向同じだし、いっしょに帰ろっか」


あくまで羽賀先輩は、わたしがあっくんに告白してぎくしゃくしているとは知らないスタンス。

自然に、あっくんと話す機会をつくろうとしてくれている。


「ま…まあ、そうっすね」


羽賀先輩の言うことだから、あっくんも渋々受け入れた。


わたし、羽賀先輩、あっくんの順番に横に並んで歩く。

口数の少ないわたしたちにかわって、羽賀先輩が話題を振ってくれる。