てっきり、サッカー部はミーティングで遅くなると思っていた。


その間にこうしてこっそり帰るつもりでいたのに、サッカー部も解散となると――。


「藍原、みんなでいっしょに帰ろ?」

「…みんな?」


わたしがごくりとつばを呑むと、羽賀先輩は後ろを振り返った。


「ほらっ、帰るぞー!」


そう言って羽賀先輩が手招きした先にいたのは、あっくんだった。


「は、はははは…羽賀先輩!どういうことですか…!?」

「俺を挟めばそれほど気まずくないだろ?」


たしかに、あっくんと2人きりよりはまだましだけど…。


「待ってくださいよ、羽賀先――」


駆け寄ってきたあっくんは、羽賀先輩の陰に隠れていたわたしに気づいて足を止める。


「…みくり」


わたしとあっくんの間に気まずい空気が流れる。