「そ…そんなの無理ですよ!…それに、誘うタイミングもないですし…」

「ということは、本音としては敦と夏祭りに行きたいんだ?」


わたしの顔をのぞき込む羽賀先輩と目が合って、わたしはとっさに顔を背けた。

まるで、わたしの心を見透かされているようで。


本当は、あっくんといっしょに行きたい。

でも、誘えるわけがない。


「それなら俺に任せて。いい考えがあるから」

「…え?」


そのとき、休憩時間終了のホイッスルが鳴り響いた。


「じゃあ、俺行くわ」


羽賀先輩はわたしに軽く手を上げる。

そして、「とりあえずそれ飲んで、ちゃんと休憩するんだぞ」と言って、颯爽とチームのところへ戻っていった。


「試合、がんばってください…!」


わたしは、羽賀先輩からもらったスポーツドリンクをぎゅっと握りしめた。