だけど、フェンス越しにたたずむこの場所がわたしとあっくんとの今の距離間なのだろう。


甲高い歓声が上がる。

あっくんがゴールを決めたのだ。


「ナイス、敦!」

「羽賀先輩のアシストのおかげです!」


ハイタッチをするあっくんと羽賀先輩。

2人の額から流れる汗はキラキラと輝いて見える。


試合の合間の休憩時間。

あっくんはベンチでスポーツドリンクを飲んでいるのが見える。


「お疲れ」


だれもいないはずなのに声が響いて、わたしは驚いて振り返った。


「もしかして…驚かせた?」


やってきたのは羽賀先輩だった。


「…先輩〜。ちょっとだけびっくりしました」

「ごめんごめん。それにしても、がんばってるな」


羽賀先輩は、抜いた雑草でパンパンに膨れ上がったゴミ袋に目を向ける。