わたしと先輩の関係は、ただあっくんを通して知り合ったというだけ。

前からやさしい人だとは思っていたけど、こんなわたしのことを思って行動してくれるなんて。


クラスで孤立してしまっているわたしにとって、羽賀先輩はヒーローのように思えた。


――そして、練習試合の日。


わたしは隠れて応援しにきたわけではなく、本当に校内清掃のボランティアに参加していた。

担当したのはグラウンド裏の草抜きで、ここでもサッカーの試合がよく見える。


表のほうでは、女の子たちがたくさん応援にきていた。

だけど、備品倉庫などがあるこちらはだれにも気づかれない。


「…あっ!あっくんだ」


わたしはすぐにユニフォーム姿のあっくんを見つけた。


前までの幼なじみのわたしだったら、なにも気にせず表から応援していたことだろう。