教室を出た四宮は端の空き教室に入ろうとしていた。



「しの、────」


「なんで、あんな風に言われないといけないの?」



「四宮、」



「男っぽいって、影で言われるくらいなら気にしない」



「でも、それを否定されたり、冷やかされるのは、嫌だ」



はじめて聞く、四宮の本音だった。




「俺は、四宮のこと男っぽいとか、勘違い野郎だとか思ったことない」




「うそ────「うそじゃない、四宮は男っぽくなんかない。

だって、俺のほうが断然男っぽいし、行動が雑だ」」



「なに、いって」


勢いよく振り向いた四宮の瞳が濡れていた。



四宮も泣くことあるんだ、って失礼だけど思った。